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zoom RSS 位置情報に関わる個人情報保護法の問題と「検証令状」現状は?(第156回法務委員会第11号を参照して)

<<   作成日時 : 2011/10/23 03:55   >>

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総務省のホームページ:http://www.soumu.go.jp/ の左下側に「申請・手続き」の欄があります。その欄のなかの「個人情報保護」の項目のなかに「個人情報の保護に関するガイドライン」があり、事業者別にガイドラインが示されています。そのなかに『電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン』(平成16年総務省告示第695号。最終改正平成21年総務省告示第543号)の解説という項目があります。
(URL:http://www.soumu.go.jp/main_content/000046337.pdf -PDFファイルになっています。) 
そのガイドラインの26条に「位置情報」に関する解説が記載されています。

   (位置情報)26条

1.電気通信事業者は、利用者の同意がある場合、裁判官の発布した令状に従う場合その他の違法性阻却事由がある場合を除いては、位置情報(移動体端末を所持する者の位置を示す情報であって、発信者情報でないものをいう。以下同じ。)を他人に提供しないものとする。
2.電気通信事業者が、位置情報加入者またはその指示するものに通知するサービスを提供し、または第三者に提供させる場合には、利用者の権利が不当に侵害されることを防止するため必要な措置を講ずるものとする。

   (解説)

(1)本条でいう「移動体端末」とは、移動電話端末(端末設備等規則(昭和60年郵政省令第31号)第2条第2項第5号)及び無線呼出端末(同規則第2条第2項第7号)のほか、広く電波等を用いて通信を行うために用いられる端末をいう。また、 本条にいう「位置情報」とは、移動体端末の所持者の所在を表す場所を示す情報(基地局エリア若しくは位置登録エリア程度又はそれらより狭い範囲を示すものをいい、利用明細に記載される着信地域(単位料金区域等)のようなものは含まない。)をいい、端末設備等規則第22条にいう位置情報よりも広い概念である(なお、発信者の位置を示す情報については、前条にその取扱いが規定されているため、位置情報の定義からは除いている。)電気通信事業者が保有する位置情報は、個々の通話に関係する場合は通信の構成要素であるから電気通信事業法第4条第1項の通信の秘密として保護されると解される。これに対し、通話時以外に移動体端末の所持者がエリアを移動するごとに基地局に送られる位置登録情報は通話を成立させる前提として電気通信事業者に機械的に送られる情報に過ぎないことから、サービス制御局に蓄積されたこれらの情報は通信の秘密ではなく、プライバシーとして保護されるべき事項と考えられる。位置情報を通信の秘密に該当しないと解する場合であっても、ある人がどこに所在するかということはプライバシーの中でも特に保護の必要性が高い上に、通信とも密接に関係する事項であるから、通信の秘密に準じて強く保護することが適当である。したがって、外部提供できる場合も通信の秘密の場合に準ずることとした。

(2) 位置情報サービスを自ら提供し、又は第三者と提携の上提供するに当たっては、その社会的有用性と通信の秘密又はプライバシー保護とのバランスを考慮して、電気通信事業者は、利用者(ここでは当該移動体端末の所持者を指す。)の権利が不当に侵害されないよう必要な措置を講じなければならないものとした。「必要な措置」の具体的内容としては、@利用者の意思に基づいて位置情報の提供を行うこと、A位置情報の提供について利用者の認識・予見可能性を確保すること、B位置情報について適切な取扱いを行うこと、C第三者と提携の上サービスを提供する場合は、提携に関する契約に係る約款等の記載により利用者のプライバシー保護に配慮をすることなどが考えられる。@の利用者の意思に基づく位置情報の提供に関し、利用者からの同意取得は、個々の位置情報の提供ごとのほか、サービス提供開始時などに事前に行うことも可能である。もっとも、同意取得は移動体端末の操作や書面による確認などの方法により明確に行うべきであるほか、全くの包括的な内容の同意を得ることは適当でなく、位置情報を提供する者の範囲を特定しておくなどすることが望ましい。また、事前の同意は原則として撤回できなければならない。Aの利用者の認識・予見可能性の確保については、画面表示や移動体端末の鳴動等の方法により、位置情報が提供されることを認識できることを可能とすることなどが考えられる。また、合理的な期間、利用者が履歴を確認できるようにすることや、利用者が誤って位置情報を送出することを防止するため、提供されるサービスや移動体端末の機能等について、十分な周知・注意喚起を行うことが望ましい。Bの位置情報の取扱いについては、権限を有しない者が移動体端末の位置情報のモニターができないよう、暗証番号の設定、アクセス端末の限定等の措置が考えられるほか、他の電気通信事業者等が位置情報サービスを提供する場合等において、自社の管理する基地局情報が他者に不当に利用されることのないよう、基地局情報の管理について規程を設けるなどが考えられる。また、GPSによる位置情報など、電気通信サービスの提供に必要のない位置情報は、原則として利用者の意思に基づかずに取得してはならない。Cの第三者と提携の上でのサービス提供については、提携に関する契約に係る約款等において、第三者において上記のようなプライバシー保護措置が確保されることを担保することや、利用者のプライバシーが不当に侵害されていると判断される場合には、位置情報の提供を停止できるようにしておくことなどが考えられる。(3)なお、移動体端末を物体に設置して、その物体の所在地の情報を把握するような場合であっても、物体を通してその所持者の権利が不当に侵害されるおそれがあることから、上記に準じた必要な措置を講じることが適当であると考えられる。

(以上ガイドラインの26条とその解説です。)


『解説におけるポイント』

(1)のポイント:
@通話・(メール送受信などの)通信中の位置情報は「通信の構成要素」であるから、通信の秘密として保護される。

A通話時以外に移動体端末の所持者がエリアを移動するごとに基地局に送られる位置登録情報は「通信の構成要素」でなく、通話・(メール送受信などの)通信を成立させる機械的前提として、通信の秘密ではなくプライバシーとして保護される。

B(サービス制御局に蓄積された位置登録情報をふくむ)位置登録情報は通信の秘密に該当しないと解する場合でも、ある人の所在位置はプライバシーの中でも特に保護の必要性が高い上に、通信とも密接に関係する事項であるので通信の秘密に準じて強く保護することが適当。

C位置登録情報は外部提供できる場合も通信の秘密の場合に準ずる。

(2)のポイント:通信事業者は位置情報の提供に際して移動体端末の所持者の権利が不当に侵害されないよう必要な措置を講じなければならない。「必要な措置」の具体的な内容は以下。

@利用者の意思に基づいて位置情報の提供を行うこと・・・利用者からの同意取得は、個々の位置情報の提供ごとのほか、サービス提供開始時などに事前に行うことも可能。
同意取得は移動体端末の操作や書面による確認などの方法により明確に行うべきで、全くの包括的な内容の同意を得ることは適当でない。

A位置情報の提供について利用者の認識・予見可能性を確保すること・・・画面表示や移動体端末の鳴動等の方法により、位置情報が提供されることを認識できることを可能とすること、合理的な期間、利用者が履歴を確認できるようにすることなど。

B位置情報について適切な取扱いを行うこと・・・権限を有しない者が移動体端末の位置情報のモニターができないよう、暗証番号の設定、アクセス端末の限定等の措置すること、電気通信事業の管理する基地局情報が他者に不当に利用されることのないよう、基地局情報の管理について規程を設けること、GPSによる位置情報など、電気通信サービスの提供に必要のない位置情報は、原則として利用者の意思に基づかずに取得してはならない。

C第三者と提携の上サービスを提供する場合は、提携に関する契約に係る約款等の記載により利用者のプライバシー保護に配慮をすること・・・提携に関する契約に係る約款等において、第三者において上記のようなプライバシー保護措置が確保されることを担保することや、利用者のプライバシーが不当に侵害されていると判断される場合には、位置情報の提供を停止できるようにしておくこと。

(以上ポイントを列挙しました。)

 以上のように(移動端末の)位置情報という個人情報の取り扱いに関しては具体的な手法を解説して、プライバシー保護措置にもかなり配慮しています。個人情報保護法が個人情報それ自体だけでなく、その個人情報を有する個人のプライバシーの保護にも配慮していることは消費者庁の個人情報保護に関する回答をみてもわかります。消費者庁HP内にある『個人情報保護法に関するよくある疑問と回答』の「Q1−3 個人情報とはどういうことですか。プライバシー保護とは違うのですか。」(右記URL)http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/gimon-kaitou.html#1_1 を参照すると、回答として「個人情報保護法は、個人情報取扱事業者が個人情報の適正な取扱いのルールを遵守することにより、プライバシーを含む個人の権利利益の侵害を未然に防止することを狙いとしています。」と明記してあります。

参考:『個人情報保護に関する法律』では「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により「特定の個人を識別することができるもの」(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるもの=例えば学籍番号など=を含む)をいう。つまり、上記に該当しない情報であっても、複数の情報の組み合わせにより、その個人を特定し得る情報も個人情報である。」と定義してあります。また、総務省の『国民のための情報セキュリティサイト』の「個人情報に対象となる項目とは」(下記URL)http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/kiso/k03_kojin.htmでは「基本情報」として、@氏名やA住所、B生年月日、C性別の住民票で記載されている4項目を挙げています。また「付帯情報」として、職場、携帯電話の番号などを挙げる事ができます。上記の個人情報の定義や個人情報の対象項目は個人のプライバシー保護を無視したものではなく、プライバシーを含む個人の権利利益の保護を目的としていることは明白です。 

 しかしながら、平成21年11月4日の段階で、(当時)総務省顧問で現世田谷区長の保坂氏が『個人情報の議論を始めよう』(右記)http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/e51128c894c86ebef042aaaaa985cd11で次のようなことを述べています。

(以下引用)

『個人情報保護法とは、その名の通り「国民の個人情報」を保護するのではなくて、「個人情報」を行政機関(警察・検察など捜査機関を含む)が自由自在に使える状態となってしまっていて、行政機関がどのように「個人情報」を扱っているのかについては、当事者である個人がアクセスしようにも、「個人情報だから教えられません」という倒錯が起きている。「自己情報コントロール権」が銘記されなかったせいだ。』

(以上引用)

考えてみると、冒頭で提示した『電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン』(平成16年総務省告示第695号。最終改正平成21年総務省告示第543号)の解説における「位置情報(位置登録情報)」に関する配慮は、第156回法務委員会第11号(平成15年5月9日(金)曜日)の議論が深く関係しているのではないかと思われます。(右記URLを参照してください。)http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/156/0004/15605090004011a.html

(以下一部抜粋)

○保坂(展)委員 私、一番冒頭のところで、法務省の刑事局長にお尋ねした点があったんですね。これは大変重要なことなので、ちょっと追加的に聞いておきたいと思います。というのは、前回私が指摘したのは、携帯電話の位置情報並びに位置登録情報というのがあって、これは二つ違うんですね。あえて言えば、位置情報というのは、電話をかけたときに発信をした通話記録の中に含まれる、どこからかけたかということをいっています。位置登録情報というのは、例えば電話をかけていないときにでも、交換局と定期的に結んで、ここにおりますよと位置確認をしているという、この二種類の情報があるわけなんです。実は、前回も示しましたけれども、郵政省が大変いい議論をしていたんですよ、平成十二年十二月に。これは、電気通信分野における個人情報保護法制の在り方に関する研究会というのがあるんですね。この中にいっぱい出てくるんです、この位置情報の話は。これは大変な問題だということを書いているんですね。ちょっと紹介をしますと、要するに、通信の秘密もさることながら、個人がどこにいるかなんということは高度なプライバシーだと書いているんですね。そして、この整理では、なかなか境界が不確定であると。さっき言いましたところ、携帯電話やPHSのいわゆる通信をしたときに附属する位置情報は通信の秘密として概念分けできるだろうとここには書いてあります。もう一つの位置登録情報については、これは通信ではないと。いわば電話線みたいなものですからね、位置登録情報というのは。携帯電話の所持者が今東京・永田町にいますよという、この登録ですから、これは通信ではない。だからいいのかというと、しかし、これは、通信の秘密ではないけれども、どこに存在するかという情報は最も高度なプライバシーである。少なくとも、これは通信の秘密に当たるかどうかということで当たらないからといって、これとは全く違う扱いをすることは適当じゃないというふうに言っているんですね。しかも、いわゆる自己情報についてのいわば開示だとか訂正だとか、そういうこともやはり考えていかなきゃいかぬというふうに言っているんです、実は。そういうことを踏まえると、検証令状で、これからその人がどこに行くのか、どこに行ったのかというのを、捜査状を使って全然問題がない、通信傍受と全く絡んでこないという前回の答弁は、いささかやはり認識不足じゃないか、うんとと言ってもいいかもしれない。認識を問いたい。
○樋渡政府参考人
 要は、位置情報といいますものが個人の情報にかかわることであることは当然そのとおりでございますので、そういったものを捜査機関といえども勝手にとっているというものではありませんでして、やはり検証令状という令状をとって必要とあらば今までやってきたところでございます。したがいまして、捜査にとって必要であるという判断のもとで、司法の判断を経た上でとっている捜査活動でございますので、そのことに関しまして、捜査機関といたしましても慎重に配慮しながら、司法の判断を受けながらやっているものというふうに承知しております。
○保坂(展)委員 要するに、盗聴法というのは、いろいろ議論したんですね。与野党で激しい議論をして、相当に衆参ともに長時間やりました。それはやはり、通信の秘密ということに対して、捜査がどういう適正な手続をとるのかということであったと思いますよ。ですから、これは、通常の令状捜査の場合には、既にある物とかあるいは身柄とかをとるということでありますから、通信傍受の場合は、これから起きてくる犯罪に結びつくかもしれないという、未来の、かもしれないという捜査でありますよね。したがって、当然外れがある。そういった場合も含めて、本人告知ということが盛り込まれているわけですね、この通信傍受法には。今、私、整理して言いたいんですけれども、検証令状で、捜査側で、これから一カ月この人がどこに行くのか、つまりどこに行きだれに電話をしていくのかというのは、かなり高度な情報ですよ。電話の通信内容の一部も含まれるし、どこでかけたかという情報は。そしてまた、どこに行ったかということは、大変重要な情報でしょう。ということについて、この郵政省のガイドラインでもきちっと書いているわけですから、やはり本人に対してきちっと告知をすべきかどうかということを考えなきゃいけない。そこはどうですか。
○樋渡政府参考人
 先ほど委員が御指摘になられました犯罪捜査のための通信傍受に関する法律、この所定の傍受令状によって認められる通信の傍受といいますのは、委員も御指摘のとおりの、現に行われている他人間の通信について、その内容を知るため、当該通信の当事者のいずれの同意を得ないでこれを受けることと定義されております。例えば、通信の内容を知ることなく通信の当事者の電話番号等の探知のみを目的として他人間の通信を受けることは、傍受には該当しないとされているところでありまして、通信履歴や位置情報につきましては、これをリアルタイムに収集する場合でも同法律の対象とならず、同法律制定前と同様に検証令状によるべきことというふうに現在されています。そういうことで、違うということでございます。
○保坂(展)委員 これはもう、ちょっと時間がないので。では、件数はわかりましたか、過去三年間。どのぐらい行われていましたか。それだけ答えてください。
○樋渡政府参考人 その点もこの間お尋ねいただいたところでございますが、当局としましても、全国の検察庁を対象といたしまして所要の調査を開始したところでございますが、調査中でございまして、現時点ではまだ把握しておりません。といいますのは、これは非常に手作業の要ることでございまして、要は件数でございますので、その記録、きれいに把握しているわけではない、統計上ないわけでございます。
例えば、最高裁の統計では、これはうろ覚えでございますが、十三年とか十四年で十八万件ぐらいの令状請求があったということでございますが、それにつきましても、警察官が請求したか検察官が請求したかの区別もありません。当方の方で若干調べましたけれども、当方の方で何件の令状請求があったかすらの統計もないのでございまして、これを手作業でやっていくところにおきまして、最高検の御協力を得ながらもこれから進めていきたいというふうに思っております。
○保坂(展)委員 個人情報保護の議論もこの国会でまだ続いていますので、これは法務大臣にもぜひ関心を持っていただいて、引き続き調べていただけるという御答弁だったので、犯罪捜査も必要ですよね、そういった位置情報なども使う場合もあろうと思います。しかし、それが適正な手続によらなければいけないということは前提になりますので、その点を指摘して終わりたいと思います。終わります。

(以上一部抜粋)

以上のことを考え合わせてみたときに、上記平成21年11月4日の段階での保坂氏の意見、つまり、『個人情報保護法とは、その名の通り「国民の個人情報」を保護するのではなくて、「個人情報」を行政機関(警察・検察など捜査機関を含む)が自由自在に使える状態となってしまっていて・・・』という状況が現在でも続いているとすれば、総務省や消費者庁が国民に対して提示している個人情報保護法やプライバシー保護の狙いも目的もまったく達成する見込みがないということになりますから、問題外です。日本が個人情報保護やプライバシー保護に関して「法治でっちあげ」の国であることを表明しているようなものです。これは、まずい状況と判断されます。

 最近になって、注目したいのが上記の第156回法務委員会第11号(平成15年5月9日(金)曜日)の議論、特に「検証令状」に関連した議論です。警察庁が、新たに、GPS(Global Positioning Systemの略語。全地球測位システム)機能付き携帯電話について、GPSによる位置情報を取得するための捜査手法を実現したいと考え、これを法務省と協議したところ、総務省の電気通信事業における個人情報ガイドラインを改正すれば可能であるとの回答をしたことから、同ガイドラインについての改正案を提案し、今年(平成23年)に総務省において、ガイドライン及びその解説の改正案をパブリックコメントに付したようなのです。その目的は、「総務省は、電気通信事業者における個人情報ガイドライン26条3項に、「当該位置情報が取得されていることを利用者が知ることができるときであって、裁判官の発付した令状に従うときに限り」、位置情報を取得し、それを他人に提供することが許されるとの規定及びその解説を追加しようとすることのようです。 

参考:『被疑者の居場所をGPS携帯の位置情報から割り出す新たな捜査手法について考える』(下記URL)
http://beatniks.cocolog-nifty.com/cruising/2011/08/index.htmlを参照させていただきました。

総務省がパブリックコメントを介して導入したい「裁判所の発布した令状に従う時に限り」という部分で、警察が裁判所に請求する可能性が最も高いのが「検証令状」ということになります。なぜなら、『傍聴法』適用の際に発布される傍聴令状は国会報告や本人告知義務(書面)があるので、警察側としては調査上@勝手が悪い(好き勝手な調査状況になりにくい)、A国会報告があるので調査状況をごまかしにくい、B調査対象者に調査していたことを知られては、対象者が無罪だった場合などに付審判請求などに訴えられる恐れがある、などの理由があるからであろうと考えられます。

 さて、ここで「検証令状」による位置登録情報調査、あるいは位置登録情報漏洩による問題点があります。(サービス制御局に蓄積されたものも含めて)特定個人の位置情報が一定期間把握されるようになると、個人情報のうち固定位置情報(住所・職場)を漏洩しているのとかわらないことになります。なぜなら、「1日のうち最も長期間位置情報を発信している場所2カ所が住所と職場である」可能性が非常に高いからです。しかも、GPS携帯の場合はピンポイントで位置情報を地図のうえに表示できるので、住所や職場がピンポイントで判別されてしまいます。いったんこのような判別が可能になると、上記に明記されている消費者庁の「個人情報保護法は、個人情報取扱事業者が個人情報の適正な取扱いのルールを遵守することにより、プライバシーを含む個人の権利利益の侵害を未然に防止することを狙いとしています。」という内容・狙いとまったく違った現状が生じてしまう可能性が高いのです。少なくとも、個人情報のうちの基本情報である住所(固定位置情報)と付帯情報である職場(固定位置情報)は位置情報検索によって明白になってしまうわけです。

位置情報判別を警察が「検証令状」で行った場合、国会報告・本人告知(書面)が義務づけられている傍聴令状と違って、検証令状による位置情報検索は国会報告・本人告知(書面)が義務付けられていません。上記の第156回法務委員会第11号(平成15年5月9日(金)曜日)の議論(抜粋)を見てみると、平成15年の段階では「警察官が請求したか検察官が請求したかの区別もありません。当方の方で若干調べましたけれども、当方の方で何件の令状請求があったかすらの統計もない」という状況だったということです。それでは、今年(平成23年)の状況はどうなっているのでしょうか。裁判所から検証令状が発布される場合の対象犯罪、捜査令状発布要件とはどのような場合なのでしょうか。もしも、位置登録情報を収得できる「検証令状」が傍聴令状とちがって明確な対象犯罪、捜査令状発布要件なしに裁判所から警察に発布されているとすれば、総務省顧問時期の保坂氏の言うとおり、『個人情報保護法とは、その名の通り「国民の個人情報」を保護するのではなくて、「個人情報」を行政機関(警察・検察など捜査機関を含む)が自由自在に使える状態となってしまっていて、行政機関がどのように「個人情報」を扱っているのかについては、当事者である個人がアクセスしようにも、「個人情報だから教えられません」という倒錯が起きている。「自己情報コントロール権」が銘記されなかったせいだ。』という意見が正しいという事を証明し、総務省・消費者庁の意図する個人情報保護法の目的や意義を極端に希薄化させているようなものであると言えます。

 また、位置情報の流出により住所や職場が判別されてしまうと、「ストーカー行為」や通称「集団ストーカー現象」とよばれる現象に巻き込まれる状況が出てきます。これは、Facebook、Twitter、Mixiなどの「ソーシャルネットワーキング」とよばれる社会的インターネット交流からも実際の「ストーカー行為」が起きているということからもわかります。いいかえると、ソーシャルネットワーキングが「ソーシャルエンジニアリング(人間の心理的な隙や、行動のミスにつけ込んで個人が持つ秘密情報を入手する方法)」として使用されている実例があるということなのです。(この件の実例に関しては、下記参照を願います。)

参考:『位置情報とソーシャルネットワーキングサービスを利用したストーキングの実例と個人情報漏洩の流出について』(右記URL)http://infowave.at.webry.info/201108/article_1.html

 もちろん、警察のような捜査機関ですから警察自体の犯罪行為に検証令状は使えないのは当然です。しかし、現状ですでに@警察が気に入らない人物について検証令状で位置情報を取得してその人物もしくはその人物に近い人物の微罪やスキャンダルを暴き出して、脅しをかけたり、A警察に対して広い意味で「指揮命令」できる立場のものが、ライバルを同様の手口で蹴落としたり…。さらには、B政府が野党有力者やメディア幹部を同様の手段で駆逐し、政権維持を図ったりするのではないか、というようなことがすでに危惧されています。広義の盗聴に相当する位置情報の違法収得とは別ですが、「Nシステム」という一種の盗撮システムをつかって、新潟警察自体が警察署長の私的スキャンダルを告発したという実例があるようなのです。(この件に関しては下記参照を願います。)

参考:『警察の傍聴・撮影に係わる「令状主義」の徹底の必要性に関して(Nシステム運用法律の立法の重要性)』(右記URL)http://infowave.at.webry.info/201010/article_1.html
もちろん、「Nシステム」にも運用規定はありますし、個人のスキャンダル暴露に「Nシステム」を使ってよいという規定にはなっていないです。位置情報も違法・越権調査に使われないという保証はありません。早く『傍聴法』における「傍聴令状」と同じようにわかりやすい対象犯罪、令状発布要件の規定を明示してほしいと思います。

今後とも、「検証令状」と位置情報、位置情報漏洩による個人情報保護法の無力化、プライバシー侵害に注目していきたいと思っています。

参考:
@『集団ストーカー現象と個人情報の入手可能性の関連性』(下記) 
  http://infowave.at.webry.info/200911/article_1.html
A『ライフログ集合体と個人情報・プライバシー問題(『思考盗聴』とよばれる現象の一種について)』(下記)
  http://infowave.at.webry.info/201001/article_2.html
B『ユビキタス・クラウドコンピューティング時代の情報セキュリティと電波首輪理論 』(下記)
  http://infowave.at.webry.info/201001/article_1.html
C『量子暗号化技術の進展と電波首輪理論「共謀罪と傍聴法・個人情報保護法の無力化」』(下記)
  http://infowave.at.webry.info/200609/article_1.html




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内 容 ニックネーム/日時
個人や会社の名前が思考の読み取り機を用いた放送の中で流れた場合、お金を出していないにもかかわらず宣伝になって得をしたとして、その分名前が出た個人や会社になんらかのいじめを行うことになっているらしいのです。

つまり、この音声送信システムの中で伝わっている内容は多くの人々に届けられているということになります。

宣伝しているということは仕事でやっているということです。
人の体に対し、病気にかかってますよと宣伝する仕事をやってる人がいるということじゃないでしょうか。
芸能人は思考の読み取り機を用いた放送の中...
2012/03/22 03:24
明治大学教授で元裁判官で弁護士の夏井高人教授のブログから引用文です

http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/218308/186875/74990657
カルトハンター
2012/12/18 10:51
「ストーカーアプリ」ですか。怖いですね。確かに禁止しておく必要がありますよね。日本では上記本文にも書いてあるように、『電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン』(平成16年総務省告示第695号。最終改正平成21年総務省告示第543号)の解説という項目のガイドラインの26条に「位置情報」に関する解説がくわしくのっています。、本人の知らない間に携帯電話に「ストーカーアプリ」をインストールするのは違法になると考えられます。
Tea and Coffee Time
2013/01/09 15:24

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